Introduction
長編デビュー作『私の20世紀』(89)で第42回カンヌ国際映画祭でカメラ・ドールを受賞、 その後『心と体と』(18)で第67回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞したハンガリーの鬼才= イルディコー・エニェディ監督最新作。物語は、20世紀初頭のマルタ共和国のカフェで始まる。 船長が友人と「最初に入ってきた女性と結婚する」と賭けたことから始まる大人のラブロマンス。 愛と嫉妬、騙し合い…。何が本当で何が嘘なのか。愛だけが真実なのか。今夏、21世紀を 代表する心揺さぶる恋愛映画が誕生した。 主演は『アデル、ブルーは熱い色』(13)でカンヌ国際映画祭史上初めて主演女優として パルムドールを受賞、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(21)や『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、 カンザス・イヴニング・サン別冊』(21)の好演も記憶に残るレア・セドゥ。共演には『グッバイ・ ゴダール!』(17)や『SAINT LAURENT サンローラン』(14)のルイ・ガレル。第74回カンヌ 国際映画祭コンペティション部門出品作。
Story
1920年のマルタ共和国。
船長のヤコブ(ハイス・ナバー)は、
カフェに最初に入ってきた女性と結婚するという賭けを友人とする。
そこにリジー(レア・セドゥ)という美しい女性が入ってくる。
ヤコブは初対面のリジーに結婚を申し込む。
その週末、二人だけの結婚の儀式を行う。
幸せなひと時を過ごしていたが、
リジーの友人デダン(ルイ・ガレル)の登場により
ヤコブは二人の仲を怪しみ嫉妬を覚えるようになる…。
船長のヤコブ(ハイス・ナバー)は、
カフェに最初に入ってきた女性と結婚するという賭けを友人とする。
そこにリジー(レア・セドゥ)という美しい女性が入ってくる。
ヤコブは初対面のリジーに結婚を申し込む。
その週末、二人だけの結婚の儀式を行う。
幸せなひと時を過ごしていたが、
リジーの友人デダン(ルイ・ガレル)の登場により
ヤコブは二人の仲を怪しみ嫉妬を覚えるようになる…。
Director’s Note
あなたはプレゼントを貰います。しっかりと閉じられたエレガントで素敵な小箱。その小箱を毎日 幸せな気持ちで眺めています。しかし、その箱を開くことが出来ないとしたらどうしますか? 最初 は繊細に開けようとします。次にナイフを使って試してみます。ハンマーを手にした時、箱そのものを 破壊してしまうことに気が付くでしょう。それから数日間、そのプレゼントを忘れるように努力しますが 徐々に、その中を少しだけ覗くためにはどんなことでもしようと考えます。実のところその素敵なプレ ゼントはあなたをいらだたせてしまうものです。 私は「愛」「情熱」「ドラマ」「冒険」など人生の様々な色合いについて、この映画-男性であること の意味、女性であることの意味、人間であることの意味についての感情的な物語を作りました。 リジーとヤコブ、レア・セドゥとハイス・ナバーそれぞれの特徴を理解しようとします。彼らは同じ人間 の男性的な部分と女性的な部分であったのかもしれません…。
イルディコー・エニェディ
Cast Profile
LÉA SEYDOUX
レア・セドゥ
2008年クリストフ・オノレ監督作品『美しい人』に出演したことでその名を知られることになった。フランスにとどまらず今や世界で最も需要のある俳優の一人である。アブデラティフ・ケシシュの『アデル、ブルーは熱い色』は、2013年のカンヌ国際映画祭パルムドール賞を受賞し、彼女はアート系の作品、メジャーな作品のどちらも演じ分けられる役者としても成功している。レベッカ・ズロトヴスキの『美しき棘』(’10)、『グランド・セントラル』(’13)、ブノワ・ジャコの『マリー・アントワネットに別れを告げて』(‘12)、『あるメイドの密かな欲望』(’15)、ベルトラン・ボネロの『SAINT LAURENT/サンローラン』(’14)、サム・メンデスの『007 スペクター』にはボンドガールとして出演している。
ヨルゴス・ランティモスの『ロブスター』(’15)、グザヴィエ・ドランの『たかが世界の終わり』(’16)にも出演し、2作品ともカンヌ国際映画祭でコンペティションに選出されている。2019年には、初めてアルノー・デプレシャンの作品に出演し、『ダブル・サスペクツ』もカンヌのコンペティションに選ばれた。
そして本作『The Story of My Wife』、ウェス・アンダーソンの『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス、イヴニング、サン 別冊』とデプレシャンの『Deception』でカンヌに復帰する。ジェームズ・ボンド最新作『007/ ノー・タイム・トゥ・ダイ』でも彼女の活躍を見ることができる。
フィルモグラフィ
2019『ダブル・サスペクツ』(アルノー・デプレシャン)2016『たかが世界の終わり』(グザヴィエ・ドラン)
2015『007/スペクター』(サム・メンデス)
2014『美女と野獣』(クリストフ・ガンズ)
2013『アデル、ブルーは熱い色』(アブデラティフ・ケシシュ)
GIJS NABER
ハイス・ナバ―
ハイス・ナバ―はオランダで最も引っ張りだこの俳優の一人である。オランダ映画祭では、2014年の長編映画『THE PETER PAN MAN』と2019年のTVクライムドラマ『JUDAS』の2つが最優秀俳優賞に輝いた。
最近撮影を終えた本作『The Story of My Wife』では、カフェで次に最初にやってきた女性にプロポーズするという賭けを試みる船乗りという役柄を主演。
高い評価を得たテレビシリーズ『JUDAS』(’19)は、弁護士のアストリッド・ホーレーダーの自伝を元にしたドラマで、弟を巡る彼女の生死を賭けた闘争について描いている。
ハイスはオランダ人の犯罪者で服役するウィレム・ホーレーダーを演じており、この役で彼はオランダ映画祭にて2度目の俳優賞を獲得することとなる。 2018年には、ロエル・レイネが監督した歴史スペクタクル映画『ウォリアー』で主演を演じ、またトランペット奏者チェット・ベイカーの最後の日を描いた『マイ・フーリッシュ・ハート』にも出演した。2017年に主役を演じた、アカデミー賞2度獲得の監督マイク・ファン・ディムによるコメディ『TULIPANI, LOVE HONOUR AND A BIKE』は、トロント国際映画祭でのプレミア上映に加えてオランダ映画祭のオープニング映画として公開された。初期の頃のキャリアでは、ビール製造会社ハイネケンの経営者フレディ・ハイネケンの誘拐事件について描く『ハイネケン誘拐の代償』(’11)に出演し、誘拐犯役を演じる。
2008年には、ポール・ヴァーホーヴェンの『ブラックブック』でサポート役として出演。
オランダ映画祭での最優秀俳優賞2度受賞に加えて、オランダの演劇賞、ミュージカル賞をそれぞれ2012年と2014年に表彰されている。
フィルモグラフィ
2021『The Story of My Wife』イルディコー・エニェディ2018『マイ・フーリッシュ・ハート』ロルフ・ヴァン・アイク
2018『ウォリアー』ロエル・レイネ
2017『TULIPANI, LOVE HONOUR AND A BIKE』マイク・ファン・ディム
2014『HOW TO AVOID EVERYTHING』ミヒール・テン・ホーン
2011『ハイネケン誘拐の代償』ダニエル・アルフレッドソン
2008『ブラックブック』ポール・ヴァーホーヴェン
Staff Profile
ILDIKÓ ENYEDI
脚本・監督:イルディコー・エニェディ
イルディコー・エニェディは、コンセプト、メディアアーティストとして自身のキャリアをスタートさせ、芸術家グループのIndigoや当時東ヨーロッパで唯一の独立系映画スタジオだったバラ―ジュ・ベーラ・スタジオのメンバーの一人として活動に従事し、映画監督とシナリオ制作にキャリアをシフトチェンジさせる。エニェディの最初の映画である『私の20世紀』(89)はカンヌ国際映画祭でカメラドール賞(最優秀新人賞)を受賞し、ハンガリーでのニューヨークタイムズに年間映画ベスト10映画に選出された。続く『Magic Hunter』(94)は、ヴェネチア国際映画祭コンペティションに選ばれた。1999年の長編映画『Simon Magus』はロカルノ国際映画祭で審査員特別賞を受賞したし『Tamas and Juli』(97)はベルフォールの映画祭でグランプリを受賞した。
HBOヨーロッパのテレビシリーズでは、『イン・トリートメント』のハンガリーバージョンである『Terapia』を監督。スイスとポーランドで特別講座を開催し、ブダペスト演劇映画アカデミーにて講義を行った。
ドイツでは、ドイツ学術交流会(DAAT)のプログラムで深くアートに携わる。EUCROMA(the European Cross Media Academy)の創設メンバーでもあった。
2017年には、エニェディの前作である『心と体と』がベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞し、アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた。 ヨーロピアン・フィルム・アカデミーのメンバーでありながら、バラ―ジュ・ベーラ賞、功労賞を獲得し、さらにはハンガリー共和国の功労大十字勲章が送られた。
イルディコー・エニェディはブダペストとドイツのヴェストファーレン州、ノルトラインの中間に住んでいる。
フィルモグラフィ
1989『私の20世紀』2000『GESHICHTEN IN GESICHTERN』(ドキュメンタリー)
1991『Winter War』
2004『EUROPE』(オムニバス)
1995『Magic Hunter』
2008『First Love』
1997『Tamas and Juli』
2012-2016『Terapia』(TVシリーズ)
1999『Simon Magus』
2017『心と体と』
MARCELL RÉV
撮影監督:マルツェル・レーブ
ハンガリー出身の撮影監督であるマルツェル・レーブは、コーネル・ムンドルッツオ監督作品でマグノリア・ピクチャーズによって公開された『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』(’14)の撮影を担当し、同作品はカンヌ国際映画祭で、「ある視点」部門グランプリを受賞。ここからアメリカでも活動の幅を広げていくことになる。ムンドルッツオとの2度目のコラボ作品は『ジュピターズ・ムーン』(’17)で、2017年のカンヌでメインコンペティションに選ばれ、マナキ・ブラザーズ映画祭ではThe Golden Camera 300を受賞。サム・レヴィンソンの『アサシネーション・ネーション』(’18)ではサンダンス映画祭でのデビューとなった。同じ年の2018年に、HBO製作のアル・パチーノ主演『ジョー・パターノ 堕ちた名将/パルテノ』で監督のバリー・レヴィンソンと共に働いた。
2019年には、サム・レヴィンソンのHBOとA24のドラマシリーズ『EUPHORIA/ユーフォリア』でシーズン1の撮影監督を務める。同ドラマは、Camerimage FestivalでTVパイロット賞と4つのエミー賞を獲得した。
コロナウイルスによるパンデミック下にあった2020年当初には、2021年にNetflixで配信された白黒映画『マルコム&マリー』を撮影。 そして本作『The Story of My Wife』の後に、『EUPHORIA/ユーフォリア』のセカンドシーズンの撮影に入っている。レーブはブダペスト演劇映画アカデミーにて、ティボール・マテとヴィルモス・スィグモンドの下で映画撮影を学んだ。
フィルモグラフィ
2021『The Story of My Wife』イルディコー・エニェディ2021『マルコム&マリー』
2019『EUPHORIA/ユーフォリア』サム・レヴンソン
2018『ジョー・パターノ 堕ちた名将/パルテノ』バリー・レヴィンソン
2018『アサシネーション・ネーション』サム・レヴィンソン
2017『ジュピターズ・ムーン』コーネル・ムンドルッツォオ
2016『Most of the souls that live here』イゴール・ブハロフ、 イヴァン・ ブハロフ
2015『Balaton Method』bálint szimler
2014『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』コーネル・ムンドルッツォ
2014『Viharsarok/Land of storms』Ádám Császi
2012『Noeplanéte』Árpád Schilling
2012『JP.CO.DE』 Péter Fancsikai , Árpád Schilling
2011『Külalak / On a lower leve』(short) Gábor Reisz
2010『Here I Am』(short) Bálint Szimler
MÓNIKA MÉCS
プロデューサー:モニカ・メ―チ
ブダペスト演劇映画アカデミーでプロデューサーとして学び、卒業後はドキュメンタリー映画の制作会社であるBlack Boxにて映画製作者として働き、数多くの受賞作品をプロデュースしてきた。2005年には、エルヌー・メシュテルハーズィと共にM&M FILMを立ち上げる。会社の最初のヒット作品はガーボル・ロホニの『人生に乾杯!』(’07)であった。それ以来、M&M Filmはここ10年間ハンガリーで最も成功的な主流映画を製作してきた。メジャー作品のみならず、アート系の短編映画『THE BEAST』(’11)の製作や、サボルチ・ハイドゥとの共同製作として『BIBLIOTHÉQUE PASCAL』(’10)などにも携わる。
その傍ら、メ―チはアンドラ―シュ・ムヒと共にINFORG STUDIOで働き、インディーズ系短編映画『GRAVEDIGGER』(’10)や、べネデク・フリーガウフの長編『MILKY WAY』(’07)、『愛を複製する女』(’10)を共同製作した。2010年には、INFORG STUDIOとM&M Filmが合併しINFORG-M&M FILMになる。新しくなった会社で最初に制作されたのは2012年の『JUST THE WIND』で、べネデク・フリーガウフによって監督された同作はベルリン国際映画祭にて審査員グランプリを受賞した。以来、ベルリンで金熊賞を受賞したイルディコー・エニェディの『心と体と』(’17)など優れた作品を産出している。
INFORG-M&M FILMと並行して M&M FILMも積極的に活動しており、『AS FAR AS I KNOW』は2020年のタリンブラックナイト映画祭でプレミア上映、『Forest – I see you everywhere』はベルリン国際映画祭でプレミア上映され銀熊賞を受賞している。
フィルモグラフィ
2021『The Story of My Wife』イルディコー・エニェディ2021『Forest – I see you everywhere』ベネデク・フリーガウフ
2020『AS FAR AS I KNOW』ナーンドル・レーリンツ、バーリント・ナジ
2020『SPIRAL』cecília felméri
2019『この世に残されて』バルナバーシュ・トート
2017『心と体と』イルディコー・エニェディ
2017『BRASILS』Csaba M. Kiss, Gábor Rohonyi
2016『LILY LANE』ベネデク・フリーガウフ
2012『OUR WOMEN』Péter Szajki
2012『JUST THE WIND』ベネデク・フリーガウフ
2009『CHAMELEON』クリスティナ・ゴダ
2008『PANIC』アッティラ・ティル
2007『人生に乾杯!』ガーボル・ロホニ